「外壁と同時に屋根も塗装してもらいたい!」
「塗装のできない屋根があるって聞いたのだけど…」
屋根の塗装を検討する中で、「塗装できない屋根がある」とお聞きになることも多いのではないでしょうか。
2000年前後に施工された屋根材の中には、塗装できない、塗装がおすすめできないものがあることは事実です。
ただ、塗装できないからどうしようもない、という訳ではなく、適切な対処方法があります。
この記事では、塗装できない屋根について詳しい情報をお伝えし、それらの屋根のメンテナンス方法や注意点についてもご紹介していきます。
なぜ塗装できない屋根材があるの?
現在、多くの住宅には「スレート瓦」と呼ばれる屋根材が活用されています。
もともと昔は粘土で作った瓦が主流でしたが、軽量で、しかも工費を削減できるセメントと線維材料で作られたスレート瓦が用いられるようになったのです。
屋根材にスレート瓦が用いられるようになってからは、天然繊維の石綿(アスベスト)が用いられてきました。
しかし、健康や環境への配慮から、近年ではアスベストを含んでいないスレート瓦を用いられるようになったのです。
国の方針によって2000年前後から段階的にアスベストの使用が禁止され、2006年からは全面的に禁止となり、屋根材もノンアスベストのものが主流となりました。
しかし、ここで困った問題が生じています。
もともと屋根材にアスベストがなぜ使用されてきたかというと、屋根材の強度を高めることが目的であったからです。
しかし、ノンアスベストへの切り替え時期に作られた屋根材の中にはとても強度が低く、仮に塗装したとしても劣化を止めることができないものがあるのです。
そのような屋根材に塗装しても屋根の本来の役割を担えないので、塗装をおすすめできません。
ただ、屋根材をみてもどの屋根材が塗装できないのか一般的には判別がとても難しいのが特徴です。
また、経験が少ない塗装業者の中には、実際に塗装できない屋根材を知らず、塗装をすすめてしまうことがありますので、業者選びにも注意が必要です。
ここからは塗装のできない、塗装がおすすめできない屋根材を紹介していきますので、住宅に使用されている屋根材ではないか確認しておくことをおすすめします。
塗装できない、塗装がおすすめできない屋根材は?
塗装できない、おすすめできない屋根材をご紹介していきます。
これらの特徴としては屋根材としての強度がとても低く、屋根材が剥がれてきたり、割れやすかったり、崩れやすくなっているために、作業中においても損傷を起こしてしまうことがあります。
ノンアスベストの屋根材に切り替えられている時期である2000年前後に施工した屋根であれば、新築した時の図面や仕様書で確認しておくようにしましょう。
そして、塗装できない屋根材を熟知している、十分経験を積んだ塗装業者に相談することをおすすめします。
・パミール
- メーカー:ニチハ株式会社
- 製造期間:1996年~2008年
パミールは外壁材の大手であるニチハの製品であり、実際にパミールを使用して施工しているケースが多いことから、塗装できない屋根の代表格として挙げられます。
劣化がしやすく、劣化が生じてくると層状剥離と呼ばれるミルフィーユのようにバリバリと剥がれてくるような症状が現れます。
劣化は10年程度で現れるようになりますが、層状に剥がれがみられるような状態であれば、仮に塗装したとしてもどんどん剥がれてきますので意味がありません。
パミールの屋根材に対してできるメンテナンス方法としては、「屋根カバー工法」もしくは「屋根の葺き替え」が適切ですが、下地がしっかりしているのであれば「屋根カバー工法」がおすすめです。
・レサス
- メーカー:松下電工(現:ケイミュー)
- 製造期間:1999年~2006年
レサスは松下電工株式会社が製造していた製品であり、松下電工の外装建材部門はクボタと事業統合したのちにケイミューと社名を変更しています。
強度が低い屋根材でひび割れや欠損が生じやすく、劣化は築10年~15年程度で生じ、経年によって症状が顕著に現れるようになります。
作業や点検などで屋根の上を歩いただけでも割れてしまうほどですので、塗装しても屋根を補強することはできません。
・コロニアルNEO
- メーカー:クボタ(現:ケイミュー)
- 製造期間:2001年~(現在は製造中止)
コロニアルNEOはクボタ株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造販売していた屋根材で、大手建材メーカーであることから、多くの住宅に採用されています。
経年劣化によってひび割れや欠損が生じやすい屋根材であり、10年が経過して数十枚が割れているような状態も報告されています。
屋根材の全面にひび割れが生じる特徴があり、作業や点検で歩いただけでもひびが入ってしまうような状況であることから、塗装をおすすめすることはできません。
・シルバス
- メーカー:松下電工(現:ケイミュー)
- 製造期間:2001年~2003年
シルバスは松下電工(現:ケイミュー)が製造していた屋根材であり、上記でご紹介したレサスの上位商品として3年程度、販売されていました。
10年程度の経過によってひび割れや欠損、反りなどが生じるようになり、場合によっては割れた屋根材が脱落するようなこともあります。
仮に塗装を行ったとしてもこれらの劣化を食い止めることはできないために、塗装をおすすめすることはできません。
・アーバニーグラッサ
- メーカー:クボタ(現:ケイミュー)
- 製造期間:2001年~2005年
アーバニーグラッサはクボタ(現:ケイミュー)が2001年から2005年まで製造販売していた屋根材で、入り組んだ特徴的なデザインであることから人気がありました。
屋根材自体の強度はとても低く、しかも入り組んだデザインがあだとなってしまい、ひび割れや欠損を起こしやすいものとなっています。
そのため、脱落によって劣化を知ることになったり、「数年前に塗装したのに割れているのを見つけた」といった事例も起きています。
・ザルフグラッサ
- メーカー:クボタ(現:ケイミュー)
- 製造期間:2001年~2005年
ザルフグラッサはクボタ(現:ケイミュー)が製造販売していた屋根材で、コロニアルNEOの上位商品として販売されていたものです。
ただ、経年劣化によって剥離やひび割れが生じやすい屋根材であると言えます。
塗装したとしても、さらに層間剝離が進行しますので、屋根材を守ることは困難です。
・セキスイかわらU
- メーカー:積水屋根システム
- 製造期間:1990年~2007年
セキスイかわらUは大手ハウスメーカーである積水グループが製造販売しているもので、約50万戸に採用されたと言われています。
もともとアスベストが入っている屋根材で1970年ごろから販売が開始され、1990年からノンアスベストに切り替えられています。
強度は弱く、ひび割れや剥がれが生じやすいのが特徴で、塗装をしても強度を保つことができないことから、おすすめすることはできません。
・グリシェイドNEO
- メーカー:松下電工(現:ケイミュー)
- 製造期間:2001年~2005年
コロニアルNEOは松下電工(現:ケイミュー)が製造販売していた屋根材で、劣化の初期症状として屋根材の全面にひび割れが生じる特徴があります。
ひび割れから数年が経過するとどんどん割れや欠損を生じさせることから、塗装をおすすめすることはできません。
・エコシンプル
- メーカー:クボタ(現:ケイミュー)
- 製造期間:2003年~2006年
エコシンプルはクボタ(現:ケイミュー)が製造販売していた屋根材で、経年劣化によってひび割れが生じやすくなる特徴があります。
屋根材自体がどんどん劣化してしまうことになりますので、塗装をおすすめすることはできません。
塗装できない屋根材への対処法
塗装できない、おすすめできない屋根材の場合、一般的には「カバー工法」「葺き替え」を選択されることになります。
「カバー工法」「葺き替え」がどのようなものなのか、また塗装できない屋根材に「差し替え」はできるのかお伝えしていきましょう。
・カバー工法
「カバー工法」とは、屋根の上に『ルーフィング』と呼ばれる防水シートと新しい屋根材をかぶせる施工方法のことで、「重ね葺き」と呼ばれることもある工法です。
塗装できない屋根材の場合、カバー工法なら屋根材を剥がさずに済みますし、屋根材に人体に悪影響のあるアスベストを活用されている場合においても有効であると言われています。
主にスレート屋根の上に「ガルバリウム鋼板」を重ねて施工されるのが一般的です。
解体工事がほぼ不要であるために廃材がほとんど出ず、しかも葺き替えよりも安く済むために塗装できない屋根材に人気の工法となっています。
・葺き替え
葺き替えとは、屋根材を剥がして新しい屋根材に取り替える施工方法のことです。
屋根の傷み具合によって施工内容は異なり、屋根材だけではなく、屋根材の下にある桟木や防水シート、野地板を交換することもあります。
また場合によっては、屋根の歪みを補正するための下地調整を行うこともあり、それらの工事を総称して葺き替えと呼ぶこともあります。
・屋根材の差し替えはできる?
屋根材の「差し替え」とは、割れたり欠損しているような屋根材を1枚単位で交換する工事のことを指しています。
スレート屋根材が破損したような場合には、補修工具を用いて、破損したスレート屋根材の隙間から釘を引き抜き、屋根材を外して新しいものに差し替えていくのです。
1枚単位で行える作業ですので、費用が安く済むンメリットがありますが、塗装のできない屋根材にはおすすめできません。
塗装のできない屋根材は強度が弱いために、差し替えの際に損傷していない屋根材を痛めてしまう可能性が高く、しかも劣化を食い止められずキリがないためです。
屋根材への塗装の注意点
冒頭から、塗装できない屋根材の存在についてお伝えしていますが、実際にはどれが塗装できない屋根材なのか、判別することは簡単なものではありません。
そのため、経験の浅い塗装業者がそれらの屋根材に塗装してしまい、結局はすぐに対処が必要な状況になってしまうというトラブルも生じています。
注意点をいくつかのポイントにまとめましたので、ご紹介していきましょう。
・塗装できない屋根材の判別は難しい
新築した時の図面や仕様書で確認できない場合であれば、一般の方が判別することは難しくなっています。
しかも、ノンアスベストの屋根材が活用されだしたのが2000年前後であることから、プロの塗装業者でも経験が浅い場合にはこれらの屋根材を知らないこともあります。
また、図面や仕様書を見て違う製品であるとしても、実際の使用建材はまったく別のものを使われているというケースも存在します。
熟練業者が確認するとパミールだった、というようなこともありますので、十分注意が必要です。
・塗装できない屋根材に塗装したらどうなる?
塗装できない屋根材の症状として、
- ミルフィーユのような剥がれ
- 屋根材のいたるところにひび割れ
- 何かの拍子に脱落
などといったものが見られます。
ノンアスベストに切り替わった時期に作られた屋根材は、どうしても屋根材自体の強度に問題がありますので、塗装したとしても屋根材を補強することはできません。
そのため、仮に塗装したとしても劣化はどんどん進んでいくことになりますので、さらに剥がれたり、割れたり、脱落したりといった症状がみられることになります。
・知識のない塗装業者は塗装や補修をすすめてしまうことも
経験の少ない、知識のない専門業者であれば、塗装できない屋根材に対して、塗装や補修をすすめてしまうことがあります。
専門業者のアドバイスであれば間違いないと感じ、塗装に取り組んだとしても、数年が経過してさらに劣化が生じてしまうことも珍しいことではありません。
また、雨漏りがしたので専門業者に依頼したところ、スレート瓦の隙間をコーキング剤で補修してしまう業者も存在します。
スレート瓦は1枚1枚に隙間がありますが、その隙間によって水分や湿気を追い出すことができ、屋根を守る構造になっています。
コーキング剤で隙間をなくしてしまうと、屋根の内部に水分がたまってしまい、屋根材を腐食させてしまうことになるのです。
このようなことから、専門業者に依頼する際も、知識やスキルが本当に備わっているのか、判断することが重要です。
・経験豊富な塗装業者に相談を
屋根に対する塗装は、経験豊富な地元業者に依頼することをおすすめします。
屋根塗装は、屋根の構造や屋根材に関する豊富な知識が必要であり、また塗装するための熟練の技術も不可欠です。
実績が豊富にある地元の塗装業者であれば、地元に根付いて営業を行っているために、丁寧な調査や作業はもちろん、費用的にも大手より安価で済むことが多くなっています。
まとめ
塗装のできない、塗装がおすすめできない屋根材についてお伝えしました。
屋根材の塗装は外壁塗装と共に検討されることが多いですが、2000年前後に施工された住宅には塗装できない屋根材が用いられていることがあります。
従来のアスベストの屋根材からノンアスベストのものに切り替えられた時期で、強度の弱い屋根材が少なくないのです。
そのため、塗装しても屋根材を守ることができず、仮に塗装したとしても結局は劣化がどんどん進行してしまうことになります。
そのようなことから、屋根材への塗装を検討している場合であれば、地元に密着し、塗装実績が豊富な塗装業者に相談することが大切です。
「こんな相談しても嫌がられないかな?」
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この記事の著者について
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