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外壁塗装に取り込まれるご家庭の中には、『軒天（のきてん）』に塗装はした方がいいのかご相談を頂戴することがあります。
軒天とは、外壁から飛び出している屋根を見上げた際に見える屋根の裏側部分のことで、外壁を雨や紫外線から守る重要な役割を担っています。
それほど普段意識する場所ではないのですが、屋根や外壁と同様に自然にさらされている箇所であるため、劣化や損傷には十分注意が必要です。
損傷しているような場合であれば、雨漏りの原因になることもありますから、定期的に軒天の点検をしておくことも大事です。
そこでここでは、軒天の塗装について、軒天の役割やメンテナンスの必要性、劣化症状、塗装の方法などを踏まえて、プロの塗装業者が徹底解説していきましょう。
軒天（のきてん）とは
戸建て住宅での生活の中で、軒天を意識することはそれほどないとは思いますが、とても重要な役割を担っている箇所なのです。
もちろん、機能面だけではなく、こだわりの外観イメージをつくり出すためにも、なくてはならないと言えるでしょう。
そこでここでは軒天とは何か、その概要をはじめとして、役割や塗装の必要性について詳しくご紹介いたしましょう。
・軒天とは
『軒天』とは、外壁から飛び出している屋根の裏側部分で、外壁の下から見上げて見える部分のことを指しています。
『軒裏天井（のきうらてんじょう）』や『軒天ボード』などと呼ばれることもあり、紫外線や雨が直接外壁に当たるのを防いでいます。
戸建て住宅によって軒天の大きさはさまざまで、1メートルほどの大きな軒天である場合がありますが、コストを削減させるために軒天がないシンプルな造りになっている場合もあります。
『軒』とは、外壁から外に飛び出している屋根部分のことを指していることから、ベランダやバルコニーの裏側についても軒天と呼ばれます。
・軒天の役割
- 外壁の劣化防止
- 屋根裏の換気・結露防止
- 火災による延焼防止
- 美観の向上
軒天がなぜ建物に設置されているかと言うと、このような重要な役割を担っているからです。
外壁から屋根が出っ張っていますので、降り注ぐ雨や太陽からの紫外線から外壁材を守ることができます。
近年の戸建て住宅の中には、軒天のないケースも多いのですが、外壁に風雨や紫外線の影響を受けるとそれだけ劣化や損傷を引き起こしやすいとも言えるのです。
また、屋根裏の換気や結露防止のためにも役立ちます。
屋根裏には湿気が溜まりやすい性質がありますが、うまく排出させる役割のあるのが軒天なのです。
さらに、万が一、火事になったような場合には、延焼を防ぐ効果もあります。
軒天がないと、すぐに屋根裏にまで火が立ち込めてしまい、屋根が焼け落ちてしまうことになります。
通常、戸建て住宅において軒天には、燃えにくい不燃材を活用して、火災による被害拡大を食い止めているのです。
美観を高める効果もあります。
屋根裏を隠して構造を見えないようにし、意匠性を高めることや、デザイン性の高い塗装によってこだわりの外観イメージを創り出しているケースもあります。
・軒天への塗装の必要性
軒天には大きな役割があるものの、直接雨が当たらないことから、塗装の必要性を感じない方は多いです。
しかし、屋根裏は湿気がこもりやすい個所であり、その湿気の影響を受けやすいのが軒天なのです。
軒天には塗装されていないケースもありますが、塗装によって軒天を保護していない場合には、汚れが目立っていることや、カビや苔が発生しているようなケースもあります。
下から見上げた場合には、古びたような印象を受けてしまうために美観を大きく損なうことになり、しかも軒天そのものを損傷させてしまうことにもなります。
場合によっては、軒天に雨染みが発生しており屋根裏が腐食しているケースや、軒天の建材が剥がれている箇所から、害獣が住み着いてしまうようなケースも見られます。
蜂が巣を作ってしまうようなケースがありますし、ネズミやハクビシンなどの棲家となってしまうこともあります。
蜂が大量発生して刺されるなどの被害を受ける可能性や、ネズミやハクビシンなどの糞尿によって屋根裏が腐食してしまい、大幅なメンテナンス工事が必要になってしまうこともあります。
そのようなことにならないためにも、軒天は定期的に点検が必要で、また外壁や屋根塗装と同時に塗り替えしておくことも大切です。
軒天に見られる劣化症状
上記でもお伝えした通り、軒天は、直接的に雨は当たりませんが湿気の溜まりやすい箇所であり、状態を維持しておかないと役割を果たすことができなくなります。
そのため、定期的に軒天を見上げるなどして状態を確認することや、塗装業者に相談して点検してもらうなどが大切です。
そこでここでは、軒天が劣化するとどのような状態に変化するのか、よく見られる劣化症状をいくつかにまとめましたのでご紹介いたしましょう。
・汚れや色褪せが目立っている
軒天の状態が少しずつ劣化すると、汚れや色褪せが目立ってくるようになります。
塗装していない場合には、早い段階で汚れが付着してしまうことがありますし、塗装している場合においても、新築や前回の塗装から5年が経過する頃には少しずつ色褪せが見られるようになります。
塗料はそもそも、汚れが付着しにくい機能を有していますが、それでも汚れや色褪せが目立ってくるということは、塗膜に劣化が見られているということなのです。
ただ、汚れや色褪せは緊急性の高い劣化症状ではありませんが、そろそろメンテナンスしなければならないと言ったサインとして考えることができます。
外壁や屋根の状態なども踏まえて、塗装業者に相談するタイミングであると捉えると良いでしょう。
・塗膜の剥がれや浮き
軒天に塗装している塗膜がどんどん劣化が進んでくると、剥がれや浮きといった症状が見られるようになります。
塗料を軒天に塗装する際には、軒天材の状態を整え、塗料がしっかりと定着するように塗り重ねていきます。
それでも塗膜に剥がれや浮きが現れるということは、塗料の持っている機能が失われてしまったと判断できる材料でもあるのです。
塗膜が剥がれたり浮いたりしていると、その箇所から軒天そのものが劣化や損傷を始めることになりますので、速やかに塗り替えを検討する必要があります。
・カビ・藻・苔の発生
軒天に塗装している塗料が劣化すると、汚れや剥がれが目立ってくるのと同時に、カビや藻、苔が発生してしまうことがあります。
塗料には防カビ性能を有していますので、塗膜にはこのような菌が付着しにくくなっているのですが、劣化してしまうと機能が失われて発生するリスクが高まるのです。
そもそも軒天は、屋根裏に溜まりやすい湿気の影響を受けやすい箇所であるため、塗膜が劣化するとカビや藻、苔が発生しやすくなります。
カビが発生すると黒ずみがどんどん広がっていきますし、藻や苔が発生してしまうと黒ずみや緑っぽく汚れが現れます。
いずれにおいても美観性が失われてしまうため、速やかに塗装を検討した方がいいでしょう。
・雨染み
軒天に水が染み込んだような跡を見つけた場合には、屋根や外壁から雨漏りしている可能性があるため十分注意が必要です。
例えば、屋根材に何らかの損傷があり、その箇所から雨水が屋根裏に侵入して、その雨水が軒天に染み込んでいるようなケースが考えられます。
雨漏りはその他にも外壁から生じていることや、ベランダの排水がうまくできていないことから生じているようなケースもあります。
雨漏りが進行している場合には、屋根の葺き替えなど、塗装だけでは修繕できません。
そのため、まずは速やかに専門業者に相談して、雨漏りの箇所を突き止め、適切なメンテナンスに取り組むことが重要です。
軒天の塗装について
上記でお伝えした通り、軒天の状態が劣化しているような場合、早めに塗装しておけば損傷を防ぎ、美観を保つことができます。
塗装するタイミングを逃してしまって、軒天材そのものが剥がれている状態や雨漏りによって雨染みが生じている状態であれば、軒天の張り替えが必要になってしまいます。
コストの負担を抑えるためにも塗装によるメンテナンスがおすすめです。
ここでは軒天の塗装方法に加えて、塗装メンテナンスのタイミングなどについてご紹介していきましょう。
・軒天の塗装方法
軒天の塗装については、塗装面の汚れや不具合を取り除いて整え、軒天材を固定する釘や部品などが錆びないように錆止めを施したうえで、塗装していきます。
屋根や外壁塗装の際には高圧洗浄機を用いて、高い水圧で汚れを落としていきますが、軒天材が水に弱い素材の場合には手作業によって整えていきます。
また、軒天材を釘や金具で固定しているような場合には、塗装後に錆びてしまって、錆びが軒天表面に付着してしまうと汚れてしまいますので、必ず錆止めを施します。
塗装においては、『下塗り』『中塗り』『上塗り』の基本3回塗りが行われます。
最初に塗装する下塗りでは、シーラーなどの下塗り塗料が活用され、その後に重ね塗りする塗料がしっかりと密着するように塗装しておきます。
中塗りと上塗りについては、同じ上塗り用塗料を活用することになるため、『上塗り2回』と表現されることもあります。
この3回塗りは、それぞれ塗装してしっかりと乾燥してから重ね塗りを行い、強固な塗膜を作り出すようにしています。
塗膜が強くなれば、軒天の耐久性をしっかりと守ることができますし、美観も取り戻すことができますから、3回塗りが行われているのです。
・外壁や屋根と同時塗装がおすすめ
軒天塗装は、外壁や屋根と同時に取り組むことがおすすめです。
メンテナンス時期としては、外壁や屋根の場合であれば一般的に10年から15年程度で塗り替えが必要であると言われています。
軒天の耐用年数は10年程度であると言われていることから、塗装のタイミングとしては同程度となっています。
外壁や屋根塗装する際には住宅周りに足場を設置して、その足場に作業員が移動しながら塗装していきますが、軒天塗装と別のタイミングになるとそれぞれにおいて足場を設置しなければならないことになります。
足場費用が負担になってしまいますので、同時に施工しておくと効率的に住宅のメンテナンスに取り組むことができるのです。
軒天塗装の費用については、一般的に1㎡あたり700円から1,300円程度となっていることから、軒天全てに塗装してもそれほど大きな金額にはなりません。
そのようなことから、外壁や屋根と同時に軒天塗装にも取り組んでおくと良いでしょう。
・塗装業者に相談を
軒天の状態が気になるのであれば、地元で経験豊富な塗装業者に相談するようにしましょう。
軒天の補修方法には、塗装だけではなく増張り補修や張替え補修が必要となるケースがあり、一般の方にはどれが適しているのかなかなか判断するのが難しいです。
軒天材の補修が必要であるにも関わらず、DIYによって塗装してしまった場合には、すぐに塗料の塗膜が剥がれてしまうなど、塗料の機能を引き出せずに損傷させてしまう可能性があります。
そのようなことから、上記でお伝えしたような軒天の劣化症状が見られている場合には、すぐに塗装業者に相談してアドバイスを受けるようにしましょう。
地元で営業活動している塗装業者であれば、同じようなケースを経験している可能性がありますので、適切なアドバイスを受けられます。
まとめ
軒天の塗装について、軒天の役割やメンテナンスの必要性、劣化症状、塗装の方法などを踏まえて、詳しくご紹介しました。
軒天とは、外壁から出っ張っている屋根の裏側箇所のことを指しており、美観を高めるのはもちろんのこと、屋根裏の換気、外壁の劣化防止、延焼防止など、さまざまな役割を担っています。
雨や紫外線が直接当たらない箇所ではありますが、屋根裏に溜まった湿気の影響を受けることが多く、汚れやカビ、剥がれなど損傷を引き起こす場合があります。
そのまま放置していると、美観を損なうだけではなく、雨漏りの進行、軒天材がめくれてそこから害獣が住み着いてしまうなど、大きなダメージを受けるようなケースもあります。
そのため、定期的な塗装によってメンテナンスしておくことが大切ですが、そのタイミングとして外壁や屋根塗装と同時に取り組むと良いでしょう。
外壁塗装・屋根塗装を検討している場合には、実績豊富な地元の塗装業者に相談し、アドバイスを受けながら外壁のメンテナンスを進めていくと良いでしょう。
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