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住まいの外観を決定づける外壁塗装。塗料の選択は美観の維持はもちろん、建物の耐久性にも大きく影響します。
特に、ラジカル塗料とフッ素塗料は、高い耐候性と長期間の美観保持を発揮する最先端の選択肢として、多くの注目を集めています。
しかし、これらの塗料にはそれぞれにメリットとデメリットが存在します。
この記事では、専門家の視点からこれらの塗料の特徴を深掘りし、耐候性、コストパフォーマンスといった観点から、プロの塗装業者が比較を行います。
ラジカル塗料とは
新たな外壁塗装の選択肢として注目を集めるラジカル塗料。この塗料は独自の化学結合を利用して、外壁を紫外線から守る革新的な技術が活用されています。
耐久性と環境に配慮した性質により、長期間にわたり建物を美しく保つことができると評価されています。
しかし、専門的な知識がなければ、その実力や適用範囲を完全には理解しにくいかもしれません。そこで、ここでは、ラジカル塗料の基本的な概念を明らかにし、その特徴とメリットを具体的に解説していきます。
・ラジカル塗料の特徴
ラジカル塗料は特殊な化学結合により、外壁の塗膜が紫外線(UV)や酸素と反応しても分解しにくいという特性を持ちます。
「ラジカル」とは、反応性の高い分子や原子の形をした粒子を指し、通常、これらは他の化学反応を引き起こして塗膜の劣化を早める原因となります。
しかし、ラジカル塗料はこれらの粒子が発生するのを抑制し、発生したとしても害を及ぼさないようにするための技術が組み込まれているのです。
この塗料の主要な特徴は以下のとおりです。
①高耐候性
ラジカル塗料は、紫外線や化学反応による劣化に対して非常に強い耐性を示します。その結果、塗膜の色褪せや剥がれが少なく、長期間にわたって外壁の外観を維持します。
②低汚染性
外壁に付着した汚れや有害物質が塗膜に浸透するのを防ぎ、外壁をクリーンな状態に保つ助けとなります。
③さまざまな樹脂がベースになっている
ラジカル塗料には、フッ素やシリコンなどがベースになっているものがあります。たとえば、フッ素塗料をベースとしてラジカル制御技術を持っているラジカル塗料が存在するということです。
これらの特徴は、ラジカル塗料が現代の建築物に求められる、長期間の美観保持と低汚染、低メンテナンスのニーズに応えるものであり、そのために多くの建築家や施主から選ばれる理由となっています。
・ラジカル塗料のメリット
ラジカル塗料は、その特徴からさまざまなメリットがあります。
メリットの中でも耐久性と維持のしやすさは、建物の外壁塗装において最も重視される点であり、ラジカル塗料はこれらの要件を満たす優れた選択肢となっています。
①長寿命性
ラジカル塗料は耐候性が非常に高いため、塗り替えの間隔を長くすることができます。これは、塗料の耐用年数を伸ばすことで、長期的なメンテナンスコストを削減する効果があります。
②美観の維持
耐UV性に優れるラジカル塗料は、色褪せを抑え、塗装された外壁の美観を長く保持します。これにより、建物の印象を良好な状態で維持できます。
③チョーキングが生じにくい
ラジカル塗料はチョーキング現象(塗膜が紫外線によって分解して粉状になること)を防ぎます。これにより、塗装した表面の長期にわたる品質保持が可能になり、美観を長持ちさせることができます。
④艶の持続
艶が長持ちすることもラジカル塗料の特徴の一つです。長期間にわたって新しく塗装したばかりのような外観を保つことができ、建物に高級感を与え続けます。
⑤塗装のしやすさ
ラジカル塗料は塗装作業がしやすいという特性もあります。均一に塗りやすく、作業効率が良いため、施工者にとっての手間が減少し、施工コストの削減にも繋がります。
・ラジカル塗料のデメリット
ラジカル塗料の使用には多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
①濃い色の提供が難しい
ラジカル塗料は、特定の化学結合の特性上、濃い色での提供が難しい場合があります。これは、ラジカル塗料の主成分である「高耐候酸化チタン」は白色顔料のため、全体的に薄い色が多いからです。その結果、色選びに際して制約が生じることがあります。
②製品の選択肢の少なさ
ラジカル塗料は比較的新しい技術であり、市場に出回っている製品の種類がまだ多くありません。そのため、選ぶ際の選択肢が限られることがあり、消費者が求める要件を満たす製品を見つけるのが難しい場合があります。
③施工の専門性
ラジカル塗料は新しい技術を用いた塗料であるため、この塗料の施工経験がない塗装業者もいます。そのため、正しい施工を行うためには、ラジカル塗料の使用経験が豊富な業者を見つける必要があります。
④耐用年数の実績の不明瞭さ
ラジカル塗料はまだ新しく、長期間にわたる耐用年数の実績が確立されていません。そのため、実際の耐久性が理論上のものと同等であるかは、まだ完全には明らかになっていません。これは、長期的な投資としての塗料の選択にあたり、不確実性をもたらす可能性があります。
フッ素塗料とは?
フッ素塗料は、その卓越した耐候性とメンテナンスの容易さから、長年にわたり多くの建物の外壁で信頼されてきました。
この塗料に含まれるフッ素樹脂が、厳しい気象条件にさらされる外壁を守る重要な役割を果たしています。
フッ素塗料がどのようにしてこれらの特性を提供するのか、また、それが住宅や商業施設の外壁塗装にどのように適用されるのか、ここではその概要を紹介し、フッ素塗料の基本的な理解を深めていきます。
・フッ素塗料の特徴
フッ素塗料は、蛍石を原料としたフッ素樹脂を主成分としており、その特性から高い耐久性と耐候性を誇る塗料です。
フッ素樹脂は蛍石から得られ、化学的に安定したフッ素原子を含んでいます。これにより、塗料は化学反応を起こしにくく、紫外線や化学物質に対する耐性が格段に高まります。
フッ素塗料は油性、水性、1液型、2液型など、さまざまな形態で提供されています。それぞれのタイプは異なる使用条件や塗装方法に適しており、用途に応じて選択することが可能です。
その高い性能のため、フッ素塗料は一般住宅から大型建造物まで、幅広い用途に使用されます。
特に厳しい環境にさらされる建物や、長期にわたってメンテナンスを抑えたい場合に選ばれることが多いです。
フッ素塗料はウレタン系やシリコン系塗料に比べて高価ですが、その分、耐候性や耐久性が優れているという評価を受けています。
高い初期投資が必要となりますが、その長い耐用年数と低メンテナンス性を考慮すると、長期的にはコスト効率の良い選択となります。
・フッ素塗料のメリット
フッ素塗料は、独特の化学的特性により多くのメリットが存在します。
①耐久性・耐候性
フッ素塗料は、紫外線、酸性雨、塩害などの外部環境に対して高い耐性を持っています。これにより、外壁塗装が長期にわたり元の状態を保ち続けることができます。
②塗膜が長持ちする
高い耐久性によって、塗膜の寿命を延ばします。塗り替えの必要性が少なくなり、長期的なコスト削減に寄与します。
③親水性に優れている
フッ素塗料は、汚れが付着しにくくなります。また、汚れが落ちやすい性質を持っているため、建物を綺麗に保つためのメンテナンスが容易になります。
④紫外線に強い
フッ素塗料は紫外線による劣化が非常に少なく、色あせや塗膜の劣化を大幅に抑制します。これにより、建物の美観が長期にわたって維持されます。
⑤長い耐用年数
フッ素塗料は約15年から20年の耐用年数を有しており、一度の施工で長期間、外壁の保護を提供します。これは、建物の価値を保つ上で非常に重要な要素です。
・フッ素塗料のデメリット
フッ素塗料の多くのメリットに対して、いくつかのデメリットも理解しておくことが重要です。これらのデメリットは、塗料選択の際の考慮すべき事項となります。
①高価格
フッ素塗料は他の塗料種類と比較して高価です。このため、予算に限りがある場合では、コストを考慮して他の塗料が選択されることがあります。
②塗装の技術的な難易度が高い
塗膜が硬く弾力性が少ないため、塗装作業が技術的に難しくなります。この特性は、塗装業者選びにおいて影響を及ぼす可能性があります。
③ヒビ割れのリスク
フッ素塗料で塗装された外壁は、建物が地震などで揺れた際にヒビが入りやすくなることがあります。塗膜の硬さが、このような状況下での柔軟性を損ない、割れやすくなる要因となることがあります。
④再塗装時の問題
フッ素塗料の塗膜は新たな塗料の密着を妨げることがあるため、塗り替えの際には特別な下塗りが必要になります。
⑤長期間の美観維持の誤解
フッ素塗料は耐用年数が約15年〜約20年と長いとされているものの、これは必ずしも外壁の美観が同じ期間保たれることを保証するものではありません。環境条件によっては、見た目の劣化がもっと早く起こることがあります。
ラジカル塗料とフッ素塗料の比較
外壁塗装を選択する際には、機能性、耐久性、コストなど、多くの要因を考慮に入れる必要があります。
ラジカル塗料とフッ素塗料はそれぞれに顕著なメリットといくつかのデメリットを持ち、特定の条件下での使用に適しています。
ここでは、これら二つの塗料の特性を比較し、それぞれの塗料が建物の外壁にどのように最適化されるのかを検討します。
さらに、耐久性やコストパフォーマンスといった重要な要素を通じて、どちらの塗料がニーズに合致するか、考えてみたいと思います。
・耐候性の比較
耐候性は外壁塗装において最も重要な要素の一つです。フッ素塗料とラジカル塗料は、この点で顕著な性能を発揮し、それぞれが異なる利点を発揮します。
■フッ素塗料の耐候性
フッ素塗料は耐候性に非常に優れており、紫外線、極端な温度変化などに対する耐性があります。耐寒性が高いため、寒冷地でも性能を維持することができます。
これらの特性によって、耐用年数は15年から20年と言われています。他の塗料よりも高価格ではありますが、コストパフォーマンスに優れています。
■ラジカル塗料の耐候性
ラジカル塗料も優れた耐候性を誇ります。「ラジカル」の影響を受けにくい塗膜を形成することで、紫外線による劣化を大幅に抑制します。
耐用年数は約12〜15年とされており、フッ素塗料に比べると若干短いものの、価格がシリコン塗料と同程度であり、コストパフォーマンスに優れています。
そのため、一般住宅をはじめとした幅広い建物での採用が可能です。
これらの比較から、フッ素塗料は長期間にわたる耐候性を最優先する場合や特に厳しい環境条件下での使用に適しています。
一方、ラジカル塗料は価格と耐候性のバランスを重視する場合に適しており、より一般的な使用条件に適応する選択肢と言えます。
どちらの塗料も高い耐候性を備えているため、最終的な選択は予算、建物の使用条件、および長期的な維持管理の視点から決定すると良いでしょう。
・コストパフォーマンス
塗料の選択においてコストパフォーマンスは重要な要素です。ラジカル塗料とフッ素塗料の価格帯を比較すると、両者のコストパフォーマンスには顕著な違いが見られます。
■ラジカル塗料の価格
ラジカル塗料は一般的に2,300円から3,500円/㎡の範囲で提供されており、その耐用年数と組み合わせることで、コストパフォーマンスの良い選択肢となっています。
価格がシリコン塗料と同程度かそれ以上であるものの、耐用年数が12〜15年と比較的長いことから、中期的な経済性に優れています。
■フッ素塗料の価格
フッ素塗料は、3,000円から5,100円/㎡の相場であり、これはラジカル塗料よりも高価です。
しかし、その耐用年数が15年から20年に及び、耐候性能が特に高いことを考慮すると、長期的な投資としては高いコストパフォーマンスを提供します。
特に、過酷な環境条件下や、頻繁なメンテナンスが困難な場所での使用には最適です。
コストパフォーマンスを判断する際には、単純な塗料の単価だけでなく、塗装の耐用年数、メンテナンスの頻度とコスト、そして塗装作業の容易さなど、長期的な維持管理の観点から全体的なコストを考慮することが重要です。
ラジカル塗料は初期投資が比較的低く、短期から中期的な範囲でのコストパフォーマンスに優れています。
一方、フッ素塗料の初期コストは高いものの、長期的な耐久性と低メンテナンス性により、長期間にわたってコスト効率の良い選択となり得ます。
まとめ
本記事では、ラジカル塗料とフッ素塗料という二つの外壁塗料の特性、メリット、デメリットを比較しました。
ラジカル塗料は紫外線や酸素からの保護機能に優れ、コストパフォーマンスが良いことから、一般住宅をはじめとした多くの建物に適しています。
一方で、フッ素塗料はその卓越した耐候性と長い耐用年数により、特に厳しい環境下や長期間にわたる低メンテナンスを求める塗装計画に最適です。
価格に関しては、フッ素塗料がラジカル塗料より高価であるものの、長期的な視点で評価すると、その高い耐久性によりコストパフォーマンスが高いと言えます。
外壁塗装の塗料については、地元に密着し、実績豊富な地元の塗装業者に相談しながら進めていくことをおすすめします。
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この記事の著者について
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2021年3月31日、はじめて執筆の書籍「リフォームで一番大切な外壁塗装で失敗しない方法」をクロスメディア・パブリッシングより出版。(各図書館に置かれています)
「初心忘るべからず」という言葉を胸に、毎日お客さまの信頼を得られるよう頑張っています。 世の中には不誠実な業者も多く、リフォームで後悔する人が後を絶ちません。
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