目次
外壁塗装の見積もりを見ていると、『シーラー』『フィラー』『プライマー』などと、聞きなれない言葉が記載されているのを見かけることがあります。
どのような作業なのか気になった方も多いのではないでしょうか。
外壁への塗装作業は、下塗り・中塗り・上塗りの3度塗りを基本としていますが、最初の下取りの際に塗装される塗料のことをシーラーやフィラー、プライマーと呼んでいます。
それぞれに特徴があり、外壁材との適性によって選択することになりますが、どの下塗り材においても、その後に塗装される中塗りや上塗りの仕上がりを良くするためのものです。
それではどのような特徴があって、それぞれの違いはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、外壁塗装の下塗りとして活用されるシーラーやフィラー、プライマーについて、役割や必要性を踏まえて、プロの塗装業者が徹底解説していきましょう。
外壁塗装での下塗りの役割
冒頭にもお伝えした通り、外壁塗装で用いられるシーラーやフィラー、プライマーといった製品は、下塗りの際に活用される塗料となっています。
その後に塗り重ねられる中塗りや上塗りの仕上がりに大きな影響を与えるものであるため、とても重要な作業工程となっています。
そもそもなぜ下塗りが必要なのか、さらに言えばなぜ外壁塗装は3度塗りを基本としているのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
そこでここでは外壁塗装の3度塗りに着目しながら、下塗りの役割、シーラーやフィラー、プライマーの特徴についてご紹介していきます。
・外壁塗装では3度塗りを基本としている
外壁塗装の見積書を見てみると、『下塗り・中塗り・上塗り』もしくは『下塗り・上塗り2回』と記載されているのがわかります。
これは塗装の工程ですが、3度塗りを行うといった意味を持っています。
外壁塗装は、
- 足場・防水シートの設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 下塗り（シーラーやフィラー、プライマーなど）
- 中塗り（上塗り1回目）
- 上塗り（上塗り2回目）
といった流れが基本となっています。
塗装作業のための足場を設置した後に、飛散しても大丈夫なように防水シートを設置していきます。
高圧洗浄によって外壁の汚れを落とした後、外壁材の劣化や損傷などに対して下地処理をして塗装できるように整えておきます。
その後に、下塗りとしてシーラーやフィラー、プライマーといった塗料を塗装し、外壁材と上塗り塗料がしっかりと定着するようにしておきます。
中塗りと上塗りは基本的に同じ塗料を活用することから『上塗り2回』と表現されることもありますが、それぞれがしっかりと乾燥してから塗り重ねられることになります。
・外壁塗装での下塗りの役割
上記でご説明したとおり、外壁塗装での下塗りは3度塗りを基本としている塗装作業の最初に行われるもので、塗装の品質のためには最も重要だと言われています。
中塗りと上塗りで活用する塗料と、その下地となる外壁材とをしっかりと密着させる効果があります。
主な外壁材には、サイディングボードやモルタル、金属外壁、コンクリート外壁などがありますが、外壁材の中にはそのまま塗料を塗布するとうまく密着しないものがあります。
うまく密着しないと、当然ながら塗装したにも関わらずすぐに剥がれ落ちてしまう可能性があります。
さらに、劣化や損傷によってひび割れが生じているような場合や外壁材の素材によっては、塗料をそのまま吸い込んでしまうようなケースもあります。
中塗りや上塗りの塗料が吸い込まれてしまうようなことになると、塗装したのにムラが発生してしまい、綺麗な仕上がりになりません。
そのような塗装でのトラブルを防ぐために、まず外壁材に下塗りをしておき、その後塗り重ねられる中塗りや上塗りをしっかりと受け止め、密着させる役割を担っているのです。
・外壁塗装で活用される下塗り材
上記でもお伝えしている通り、外壁塗装で活用される下塗り材は外壁材に応じた塗料が選択され、中塗りや上塗りの塗料をしっかりと定着させる役割を果たします。
下塗り材にはいろいろな種類があり、
- シーラー
- フィラー
- プライマー
- バインダー
- サーフェイサー
など、それぞれに異なる特徴を持っている製品が活用されています。
詳しい特徴については次の章で詳しくお伝えいたしますが、外壁材や劣化損傷の状況によって適切な下塗り材を選択しなければなりません。
例えば、シーラーには外壁材が塗料の吸い込みを防ぐため活用されていますが、バインダーは吸い込みが起きない外壁材に対して活用し、上塗り塗料をしっかりと定着させるために用いられています。
そのような特徴から、特定の外壁材に相性の良い下塗り材があり、外壁材によく見られる劣化や損傷をカバーする下塗り剤も存在します。
そのため、自宅の外壁材に相性の良い下塗り塗料は何か、専門の塗装業者に相談しておくといいでしょう。
外壁塗装の下塗り材～シーラー・フィラー・プライマーなどの違い
上記では外壁塗装で活用される下塗り材の役割や、下塗り材の種類についてご紹介いたしましたが、ここではそれぞれの特徴や役割についてご紹介し、違いを明らかにしていきます。
自宅の外壁材にどの下塗り材が適しているのか、劣化や損傷に対して活用すべき下塗り材はどれなのか把握しておくようにしましょう。
・シーラー
接着する、塞ぐといった意味を持っているシール（seal）を語源とする下塗り塗料で、下地に染み込ませることによって、中塗り・上塗りへとつないでいく役割を持っています。
塗料が染み込みやすい外壁材に塗装した場合、そのままの状態では塗装してもどんどん下地に染み込んでしまい、仕上がりがとてもムラのある状態になってしまいます。
しかし下塗り材としてシーラーを塗装しておけば、シーラーが外壁に吸収されるために、重ね塗りした際の塗料の吸い込みを防げます。
さらに、吸収されたシーラーは外壁材に浸透しますので、下地を補強する役割も持っています。
しかも塗料の密着性を高めることができますので、中塗りや上塗り塗料をしっかりと定着させることができるのです。
シーラーの種類には水性タイプと油性タイプがあり、水性タイプにおいては劣化の少ない下地への使用が適しており、油性タイプは補強効果に優れているといわれています。
さらにはタバコのヤニや雨染みを防ぐタイプ、コンクリートやモルタル外壁を補強するタイプなどがあり、外壁の状況によって使い分けられています。
・フィラー
フィラーとは、『埋める』という意味を持つ『filler』が語源である下塗り剤で、外壁材そのものにひび割れや損傷が生じているような場合に活用されています。
例えば、外壁材にひび割れが生じているような場合、そのまま中塗りや上塗りを塗装していくと、塗装後に新たなひび割れの発生や、ひび割れに塗装を吸い込んで仕上がりにムラを生じさせてしまうことになります。
フィラーは、先程ご紹介したシーラーよりも粘度が高い特徴を持っており、ひび割れを上手く補修することや、凸凹している表面をならすことができます。
ひび割れや損傷が生じているような外壁材に対しても、フィラーで下塗りしておけば、しっかりと中塗りと上塗りを定着させることができるのです。
そのようなことから、ひび割れが生じやすいモルタル外壁に対して活用されるシーンが多くなっています。
またフィラーの種類には、シーラーの機能も有している『微弾性フィラー』『弾性フィラー』と呼ばれる製品も登場しています。
文字の通り、伸縮性を意味する弾性を有している塗料で、ひび割れに対して活用することによって、ひび割れを埋めるだけではなく、弾性によってひび割れの動きに追従でき、塗膜や外壁材自体を守ることができるのです。
・プライマー
プライマーは、中塗りや上塗り塗料のつなぎ役として活用されている下塗り塗料で、『浸透性プライマー』『防錆プライマー』『導電性プライマー』といった機能を有するタイプがあります。
『浸透性プライマー』は、モルタルやコンクリートなど塗料が浸透しやすい外壁材に対して用いられるもので、塗料の吸い込みを防ぎ、内部から外壁を強化する効果に優れています。
そのため、劣化や損傷が見られるモルタルやコンクリート外壁に対しては、耐久性を維持する目的で浸透性プライマーが活用されるシーンがあります。
『防錆プライマー』は、錆びが発生しやすい外階段など鉄部の塗装に対して活用されており、錆止め塗料として活用されています。
特に錆びが広がっている鉄部に対して、錆びの除去のために行われるケレン作業で、鉄部の耐久性を落としてしまわないように、防錆プライマーが用いられます。
『導電性プライマー』は、電気が伝わりやすい性質を持っているプライマーで、静電気を溜め込んで安全性が損なわれる、精密機械を扱うような工場において活用されています。
例えばそのような工場において、外壁に静電気が溜まりやすくなっていれば、何かのきっかけで火災や機械の故障を引き起こしてしまう可能性があります。
そのような箇所に対しては、導電性プライマーを下塗りしておき、静電気がたまりにくい環境にしておくのです。
・バインダー
シーラーやフィラー、プライマーのほかに、結合するという意味を持つバインダー（binder）と呼ばれる下塗り材も存在します。
外壁塗装での下塗りには、あまり活用されるシーンは少ないのですが、外壁材と中塗り・上塗り塗料の定着を目的として活用されています。
新築の施工の際や外壁タイルに対して選択されるケースが多くなっています。
・サーフェイサー
サーフェイサーとは、主に劣化や損傷が見られる古い外壁材に用いられるケースが多い塗料で、プライマーやシーラーといった下塗り材の上から、中塗りとして利用されています。
特に、ひび割れが多い箇所や、損傷によって凸凹している下地は、そのまま塗装してしまうと凸凹が浮かび上がってしまうことになります。
しかしプライマーシーラーで下地を整えた上で、サーフェイサーを活用して凸凹を平らにしておけば、上塗りによって綺麗な仕上がりとなるのです。
外壁塗装の下塗り前に欠かせない行程
- 高圧洗浄
- 下地処理（ケレン作業・シーリング）
冒頭から外壁塗装での下塗りの役割についてご紹介してきましたが、下塗り作業の前に欠かせない工程があります。
それが『高圧洗浄』と『下地処理』で、下塗りの効果を発揮させるためには、これらの工程が重要な意味を持っています。
高圧洗浄とは外壁に付着している汚れやカビなどを落とす作業のことで、それらを無視したまま下塗りを行ってしまうと、しっかりと耐久性を引き出すことが出来ません。
そのため高圧洗浄機を活用し、丁寧に汚れを落とした上で、十分に外壁を乾燥させた上で下塗りが行われることになるのです。
さらに下地処理と呼ばれるケレン作業やシーリング作業などの工程がとても重要です。
ケレン作業とは、鉄部に付着している錆びを落とす作業のことであり、錆びを除去することによって耐久性を引き出すことができます。
シーリング作業とは、ゴム状に硬化する液体のことで、サイディングボードの目地などに充填されており、外壁内部に雨水が浸入することを防いでいます。
シーリング自体は紫外線で劣化してしまいますので、定期的に打ち替えしておかないと、劣化した箇所から雨水が浸入して雨漏りの原因となってしまうのです。
まとめ
外壁塗装での下塗りについて、その役割や活用される下塗り材、シーラー・フィラー・プライマーなどの違いを踏まえ、詳しくご紹介しました。
外壁塗装では3度重ね塗りすることを基本としており、その最初に塗装される塗料を下塗り材と呼んでおり、中塗り・上塗りを定着させ、品質を高めています。
主にシーラーやフィラー、プライマーといった下塗り材が活用されており、外壁材や外壁の劣化・損傷の状況によって使い分けられています。
そのため、外壁塗装においては適切な下塗り材を選択しなければなりません。
そのようなことから外壁塗装、あるいは屋根塗装を検討している場合には、実績豊富な地元の塗装業者に相談し、アドバイスを受けながら外壁のメンテナンスを進めていくと良いでしょう。
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