外壁塗装工事は建物の規模が大きくなるほど費用も高くなり、一度に支払うのが難しくなってしまいます。
特に企業の場合、店舗や事務所の外壁塗装をするとなると、多大な費用がかかり、赤字になる可能性も出てきます。
そこで紹介したいのが、修繕費と資本的支出という2つの費用計上方法です。
それぞれ該当する条件があるので、工事前に費用や工事内容をしっかりと検討する事が大事です。
今回は、修繕費と資本的支出のそれぞれが該当する条件と特徴、さらに国税庁が示す耐用年数とともに減価償却の計算方法を解説します。
ぜひ参考にしてください。
□修繕費と資本的支出
外壁塗装は「修繕費」か「資本的支出」に経費として計上できます。
収益的な支出に当てはまる場合、勘定科目は「修繕費」です。
収益的な支出とは一部修繕の際の項目で、外壁塗装の費用を一括で経費として計上します。
資本的支出に当てはまる場合、勘定項目は「建物」です。
資本的支出とは、建物の資産的価値を高める、外壁のデザインを変える工事の際の項目です。
減価償却が必要で、何年かに分けて経費計上します。
□修繕費と資本的支出の判断基準「目的」
外壁塗装が修繕費か資本的支出のどちらに当てはまるかは、2つの基準によって判断されます。
判断基準の1つが、外壁塗装の目的です。
*修繕費として判断される
修繕費として判断される場合、外壁塗装の目的は建物の維持管理や原状回復です。
例えば、雨漏りを防ぐ目的で外壁のひび割れを補修することや、建物の外観を保つ目的で色あせた部分を補修することが当てはまります。
*資本的支出として判断される
資本的支出として判断される場合、外壁塗装の目的は建物の価値向上、外壁のデザイン変更です。
例えば、建物の価値を高める目的で色や素材を変えて塗装することや、外壁のデザインを変える目的で配色を変えて塗装することが当てはまります。
また、配色やデザインだけではなく、耐久性や断熱性が高い塗料での塗装といったように、塗料を変更して行う外壁塗装も当てはまります。
□修繕費と資本的支出の判断基準「金額」
修繕費か資本的支出かの判断基準の2つ目は、金額です。
目的だけでは判断しにくい場合は、金額で判断しましょう。
*目的が資本的支出でも修繕費として計上できる
支出額が20万円未満、または3年以内の周期で修理や改良がされている場合、外壁塗装を修繕費として計上できます。
外壁のデザイン変更目的でも、金額を抑えることで一括計上できるのです。
*目的が修繕費か資本的支出か不明確な場合
目的がどちらかあいまいな場合、支出額が60万円未満、または前年12月31日において修理や改良などに関する固定資産の取得価額の約10パーセント以下である場合、のどちらかを満たせば、外壁塗装を修繕費として計上できます。
ただし、工事内容が資本的支出だと明確に分かる場合は、この条件に沿って適用はできません。
*費用を修繕費と資本的支出で分けて計上する
同時に行った外壁塗装工事内で目的が2つに分かれる場合、修繕費と資本的支出で分けて計上しなければなりません。
具体的には、雨漏りを防ぐための外壁の一部補修と建物の価値向上を目的とした屋根の遮熱塗装を同時に行った場合です。
この場合、一部補修の費用は修繕費、遮熱塗装の費用は資本的支出として計上します。
□修繕費と資本的支出は結局どちらのほうが良い?
外壁塗装の費用を修繕費として計上するか、資本的支出として計上するかは、その外壁塗装の目的と金額で定まりました。
しかし、目的があいまいな場合は金額や工事前後の状況によって定まる場合もあり、金額を抑えれば修繕費として計上できると考える方もいらっしゃるかもしれません。
修繕費と資本的支出どちらで計上したほうがメリットがあるのかを考えたとき、実はどちらにもメリットとデメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言えません。
ここでは、修繕費として計上する場合と資本的支出として計上する場合のメリットとデメリットを紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせて、参考にしてください。
*修繕費のメリット・デメリット
修繕費として計上することの特徴である一括計上は、大きなメリットです。
数年に分けて減価償却する必要がある資本的支出と比べて、一度に計上できるので手間を省けます。
また、所得が多い都市に外壁塗装を修繕費として一括計上することで、所得額が低くなり納税額も減らせます。
一方で、外壁塗装費用をすべて修繕費として計上できるわけではないというデメリットも存在します。
目的が資本的支出に当てはまる工事でも、外壁塗装の費用が20万円未満の場合は修繕費として計上できると紹介しました。
反対に言えば、目的が資本的支出に当てはまる工事であると、修繕費として計上できる金額は20万円までということです。
20万円を超えた費用は修繕費として計上できないため、資本的支出として計上し減価償却する必要があります。
*資本的支出のメリット・デメリット
修繕費として費用を一括計上することのメリットを紹介しましたが、減価償却を必要とする資本的支出にも赤字を抑制できるというメリットがあります。
費用を一括計上してしまうと、その年の収益を費用が上回ってしまい、赤字になる可能性が高くなってしまいます。
一方で、資本的支出として計上すると、減価償却で何年かに分けて費用を計上できるため、1年あたりの負担額を抑えられ、赤字になる可能性を低くできるのです。
しかし、減価償却にもデメリットが存在します。
何年かに分けて費用計上するため、税務処理の手間がかかるのです。
国税庁が提示している償却期間に合わせて、毎年計上しなければなりません。
また償却期間は自分で決められないため、数年間、一定の費用が固定されてしまいます。
□国税庁が示す耐用年数とは?減価償却はどのように計算する?
では、国税庁が示す耐用年数とはどのくらいの期間なのでしょうか。
外壁塗装費用における耐用年数は、固定資産を新しく取得した場合と同様に考えられます。
そのため、物件本体と同じ耐用年数が適用されるのです。
具体的な耐用年数は以下の通りです。
木造・合成樹脂造りの建物の場合は、
・事務所用:24年
・店舗・住宅用:22年
・飲食店用:20年
鉄骨鉄筋コンクリート造りの建物の場合は、
・事務所用:50年
鉄筋コンクリート造りの建物の場合は、
・住宅用:47年
・店舗・事務所用:39年
金属造りの建物の場合は、
・骨格材の肉厚が4ミリメートル超:38年
・骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下:30年
・骨格材の肉厚が3ミリメートル以下:22年
以上が、国税庁が定める法定耐用年数です。
中古物件の場合は、その物件が使用できる年数を見積もった年数になります。
ただし、中古物件取得後に再取得価額の5割相当を超える資本的支出がある場合、新品の物件の取得として扱われ、法定耐用年数が適用されます。
次に、法定耐用年数をもとに減価償却の計算方法を紹介します。
まず減価償却とは、時が経つにつれて価値が減少していく資産において、その価値の減少分を費用計上する会計処理のことです。
資本的支出としての外壁塗装も減価償却資産に当てはまるので、減価償却が必要なのです。
外壁塗装の減価償却方法は定額法で、それぞれの耐用年数に定められた減価償却率を使って計算します。
それぞれの耐用年数に対する減価償却率は以下の通りです。
・耐用年数20年:0.05
・耐用年数22年:0.046
・耐用年数24年:0.042
・耐用年数30年:0.034
・耐用年数38年:0.027
・耐用年数39年:0.026
・耐用年数47年:0.022
・耐用年数50年:0.02
例えば、飲食店用の木造・樹脂造りの建物を外壁塗装した場合、耐用年数は20年、減価償却率は0.05です。
この外壁塗装に100万円の費用がかかった場合、100万円に減価償却率0.05をかけた5万円を20年間費用計上していきます。
ただし、外壁塗装した年は、工事の月から年度終わりまでどれくらいの月数が経過しているかも計算に含まれます。
例えば、上記の工事を7月1日に行った場合、年度終わりの3月31日まで9か月経過しているので、外壁塗装を行った年のみ5万円に9/12をかけた3万7500円の費用計上になるのです。
□このような場合は資本的支出をおすすめします!
上記のように外壁塗装の費用を資本的支出として計上すると、減価償却が必要なため税務処理の手間がかかります。
しかし、紹介したように資本的支出での費用計上にもメリットがあります。
そのメリットを有効に活用できるのは、さらなる融資を検討している場合です。
費用を数年に分けて1年ごとの負担を減らす減価償却は、赤字になる可能性を低くします。
そのため、融資を受ける際に経営状態が悪いと判断されにくく、融資が受けられやすくなります。
毎年の費用計上はあるものの、さらなる事業展開を目指している方にとっては、資本的支出として計上すると良いでしょう。
一方で、減価償却率と耐用年数が定められているため、毎年計上する減価償却費には上限があることに注意しましょう。
また計上する費用が大きいほど節税効果が高い場合があるので、工事前に税理士の方に相談し、修繕費と資本的支出のどちらに当てはまる工事をするか決めることをおすすめします。
□まとめ
今回は、修繕費と資本的支出のそれぞれが該当する条件と特徴、さらに国税庁が示す耐用年数とともに減価償却の計算方法を解説しました。
一部の修繕目的であり20万円未満の外壁塗装は修繕費として、建物の価値を高めるための外壁塗装は資本的支出として費用計上できます。
修繕費での費用計上は節税効果、資本的支出での費用計上は赤字抑制効果がありますが、どちらが良いのかは状況によって異なるので、工事前に検討しましょう。
当社は、プラン制の価格体系を提示しており、外壁塗装の種類、耐久年数、規模それぞれを加味して適正な価格を案内しております。
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この記事の著者について
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2021年3月31日、はじめて執筆の書籍「リフォームで一番大切な外壁塗装で失敗しない方法」をクロスメディア・パブリッシングより出版。(各図書館に置かれています)
「初心忘るべからず」という言葉を胸に、毎日お客さまの信頼を得られるよう頑張っています。 世の中には不誠実な業者も多く、リフォームで後悔する人が後を絶ちません。
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